たとえば、今遠足なんか行って二人で取り残されて、結果二人とも凍死してしまう事故があるとするでしょう。絆教育ばっかりやってるのがね、子どもたちを死に至らしめる。それはなぜかっていうと、生き抜こうとする技術っていうか、生き抜こうとする気持ちがね、もう教わってないんですよ。それが最初からないんですよ。執念。それさえあればどうにかしてそこから助かろうとするでしょ。

生き物を見てるとよくわかります。自分で生きる気持ちをなくした動物は死にます。苦難に接すると、生きる気持ちをなくす動物というのもそりゃいます。一夫一婦制の動物がいるでしょ。例えばタヌキがそう。ずっと飼ってるとね、メスのほうが先に死んだりするんです。オスは絶対に新しいメスを受け付けない。それで10日くらいすると元気がなくなってくるの。スタッフが「どうしましょうか?」って言うから「そんなのほっとけ」って。自分で死にたがってるんだから。そのままあと何日かで死ぬ。人間もそうでしょ。逆だと奥さん長生きする(笑)。

今なかなかそういう「生きる」ということを学ぶ場所や機会がないのは本当に残念なこと。「自然教育」なんてありますがね、ああやって自然に連れて行くでしょ、するとそこにインストラクターっていうのが居やがってね。「みんなこっち来い、これは何ていう花で、これは何ていう木、はいこっちは」って次から次に教えていくんですよ。そうじゃなくて引っかき傷を作ることがまず勉強なんですよ。そこをまず忘れてるんですよ。それなのに傷を作らせないためにインストラクターがいる。おかしいんです。

だから本を……そろそろ書かなきゃいかんかなと思ってね。寒くてしょうがなくて諦めた場合、ふーっと自然に死ねるんですよ、人間っていうのは。ところがそれに抵抗する気持ちもあるんですよ。死にたくないって。俺、もっと生きたい。どうしますか? やっぱりこうやって体を動かすじゃないですか。温かくなるじゃないですか。そうやって心の中で温かく生きようという気持ちがある場合には、そうなるんですよ。そういうものがね、本当の教育なんですね。気持ちの一番中心に「負けるか!」って、そう思うことが大切。

 

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