でも今、僕は子どもに怒られている。体の具合が悪いのに、医者に行かなかったんです。ある日帰った途端にね、胸ぐらをつかまれて、ガッてやられて。「パパ!」「なんだ?」「医者に行きなさい!」「はい。行きます」って。

ふと思い出すんです。無人島の冷たい風で寝られなかったとき、どうしたかっていうと、持っている布団を全部かけるわけです。毛布から全部。それでも寒いわけ。そしたらね、抱き合って寝るのが一番いいんです。娘を真ん中に置いて3人で抱き合うわけ。そうすると体の震えがやっと止まるんです。それでもすきま風が入ってくる。そのときは5匹の犬を呼んできて、やつらも寒いからみんな布団の上に群れてくれるわけ。それでやっと暖かくなる。それがね、生き物が集まるっていうことの原点でしょ。そういうことを経験してますから、その原点は大切にしたいっていうのが私の願いです。

教育はね、こうやって体験したことが大切なんです。でも今、その絆を作ろうとするでしょ。マニュアルになってくるでしょ。そんなのくだらないっすよ。若い人を育てることがあるんですけど、「動物の世話がわかりません」って言うんです。「それも知らないか、じゃあ次の回までに自分でちゃんと調べておいで」って言うんです。でも調べろっていうと、それは脊索動物に属して、こういう生態で……何か本を読んでるんですよ。そういうので勉強してるんですよ。

でもそれ勉強じゃないよ。「自分で海岸に行って採集してね、何かをこうやって引っぱがしてみてね、へぇ~と感激する。それが第一歩だよ」って僕はそう言うんです。そういうのがなくなってますね。みんなマニュアルに沿ってね、絆がどうのね、都民ファーストだとかね、何とかファーストだっていうことが流行ったの、それで選挙に通っちゃうなんて、あんな馬鹿なことがあるか。

 

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