画像1: #18 ノンフィクション作家/探検家・角幡唯介さん[育てる絵本]

今月の人。

画像: 今月の人。

ノンフィクション作家/探検家
角幡唯介さん
1976年、北海道芦別市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。同大探検部OB。2003年に朝日新聞社に入社、08年に退社後、ネパール雪男捜索隊に参加する。二度のツアンポー探検を描いた『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で10年に第8回開高健ノンフィクション賞、11年に第42回大宅壮一ノンフィクション賞、第1回梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞した。12年、『雪男は向こうからやって来た』で第31回新田次郎文学賞受賞。13年、『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で講談社ノンフィクション賞受賞。15年、『探検家の日々本本』で第69回毎日出版文化賞書評賞受賞。18年、『極夜行』でYahoo! ニュース本屋大賞 ノンフィクション本大賞を受賞するなど受賞歴多数。

 

美しくダイナミックな木版画で
描き出す、大自然の息吹と
動植物がたくましく生きる姿

『エタシペカムイ~神々の物語~』

絵:手島圭三郎 文:藤村久和 ¥1500/絵本塾出版

自然と共存してきたアイヌの人々の世界で、代々語り継がれてきた美しい生命の物語 “カムイ・ユーカラ” シリーズ第5弾。いつも自分が一番えらくて強いといばって、弱いものいじめをしていたトドの大将が、山に住むヒグマのほうが自分より強いとうわさに聞く。怒りにふるえたトドの大将は、どちらが強いか、一対一の勝負をしようと旅に出るが……。

「この絵本は、書店で飾られているのを初めて見た瞬間、きれいな絵に引き込まれました。僕はトドのキャラクターが好きなんですよ。わがままで、傲慢で、他人の迷惑をかえりみない嫌なヤツっていうところが(笑)。一方、一般的には怖い印象のヒグマは、なぜか平和主義の常識人として描かれているのもおもしろい。シリーズで、他にもキツネやウサギが主人公の話があるんですが、キャラクターの強さでいったら、これが一番ですね」

 

食べること、動物、自然……子どもは
生死に関わる本質的な部分に反応する

北極圏の極夜を4ヵ月間、犬1匹を連れて、たったひとりで旅するなど、生死をかけた過酷な冒険で知られる探検家の角幡唯介さん。日頃、もうすぐ5歳になる娘のことを見ていると、「子どもって、本質的なことに関心を持つんだなぁ」と、しみじみ感じるという。

「端的に言えば、生死に関係するようなことですね。食べることとか、生きる上での本質的な部分にすごく反応する。そういう意味では、子どもは動物も好きですし、自然を感じさせるものが好きですね。やっぱり自然は生きるもの、死ぬものを生み出す源だから」

角幡さんが父になってから出会った絵本で、自分自身も好きになったのがアイヌの神話を描いた“カムイ・ユーカラ”シリーズ。中でも、海に住むトドと山に住むヒグマが激しい戦いを繰り広げる『エタシペカムイ~神々の物語~』は、舞台となる大自然の風景も含めて、雄大なスケール感がすばらしい。

「とにかく絵がかっこいいんですよ。絵本は物語だけじゃなく、やっぱり絵を見ることが重要だと思いますね。この絵本では、トドがヒグマに戦いを挑むために、曲がりくねった川をのぼっていく場面が好き。川幅も広いし、これだけ蛇行しているということは、けっこう下流部なんだろうなぁ。そうすると、日本だと、治水対策でどこも護岸工事されて水路みたいになっちゃっているから、こういう川はもうないよなぁ。いいなぁ、行ってみたいなぁ……って思いながら読んでいます(笑)」

 

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