画像1: [前編]3児の父クレイジーケンバンド・横山剣「音楽も子育ても、全部自然に任せてる。ほったらかしです。」【子育て、わたしの場合】

感情の起伏から生まれるメロディ、忘れていた古い記憶や匂いも思い起こさせる歌詞と哀愁漂う歌声。“東洋一のサウンド・マシーン” という圧倒的な個性を武器に、精力的に音楽活動を行うクレイジーケンバンドの横山剣さん。

ほとばしる男気と情けなさが共存する、音楽業界随一のチャーミングなミュージシャンは、実は3児の父親でもあります。天才・横山自身のルーツから、父親としての顔……。漆黒のサングラスの奥に隠されたプライベートを今回伺ってきました。

 

横山剣のルーツと父親としての素顔。

ィ横浜! ィ横須賀! ィ横分け! ィ横山剣!ハマの番長がベイスターズの三浦大輔なら、ハマのカルチャー番長はこの方、クレイジーケンバンドのボーカル・横山剣。

かっこよさとズッコケ感、ポップとマニアック、よろしくと哀愁、相反するものを一つのスタイルに落とし込み、有象無象のエンタメ界で唯一無二の存在感を見せ続ける横山剣の最も「ぽくない」肩書ではなかろうか……「父親」。

バンドデビュー20周年の今、これまであまり語られることのなかった「父親としての横山剣」を伺う。そのシンプルな育児のルーツにある、強烈な少年期の体験とは。

 

こう見えて3人の子どもの父親です。

画像: こう見えて3人の子どもの父親です。

(アーカイブを見ながら)あ、みうらじゅんさんだ、結婚してるのも知らなかった(笑)。うちのメンバーと一緒にバンドをやってるんですよ。ギターの小野瀬(雅生)と。みうらさん、お父さんのイメージ全然ないですよね。俺に言われたくないかもだけど(笑)。自分の場合は……あんまりリア充ぶりをアピールするのは好きじゃないんですけど、聞かれたら言いますよ。一応、女・女・男。上が大学2年で、中3の女の子とあと8歳の小学校3年生がおります。

 クレイジーケンバンドデビューから20年。長女と同い年か! なんかこのバンドはずっとやってる感じがするんですけど、でも結成したのはついこのあいだとも思えるし。何しろ自分自身は小学5年から活動してるイメージなので(笑)。その頃から作曲してましたから(※注①)

※注①:小5から作曲
小学生の頃から、音楽室や団地の集会所にあったピアノを自己流で弾きその才能を磨いていた。当時は、譜面は読めなかったので音感のみで脳内に鳴っている和音をピアノを再現していた。まさに天才!

小さい頃からモータースポーツが好きなんですけど、ずっとモータースポーツを追いかけてると、1年があっという間なんですね。年間タイトルがあるような、野球なんかのファンの方もそうだと思うんですけども、そういうものを追いかけてるとあっという間に一年がすぎる。

 なにせモータリゼーション華やかな時代に小学生だったんで、モーターショーも毎年行ってたし、おまけに母親もレーサーに憧れてたから、いつもすっ飛ばしてましたね。そうだ、6歳のときに『グラン・プリ』っていう映画を観て(※注②)、車に目覚めたのはそれからだった。いや、カッコよかった。事故ったら死ぬっていうのが。今はレースで事故に遭っても怪我しないことの方が多いけど、当時は命懸けの時代だったんですよ。ギリギリで生きてる、スタート前のレーサーの表情はすごい悲壮感があってカッコいい。当時そこまで分かってたかは謎ですが(笑)、そういった何かは確かに感じてて。言語化できなかったけど感じてたものは、今と一緒です。

※注②:『グラン・プリ』
剣さんが生まれて初めて観た映画は、ジェームズ・ガーナー主演の『グランプリ』だったそう。フェラーリやロータスなどF1マシンがたくさん出てくる同作が剣さんに与えた影響は大きく、6歳にしてモータースポーツに開眼。

 昔は横浜の街にもカッコいい車がたくさん走ってて。昔の横浜って、文化を発信する街だったんですよ。デニムとかコンバースとか。でも横浜の本当のカッコよさが分かったのって、2年間東京に住んでみてからなんですよ。「ああ、横浜もよかったんだな」っていうことをあらためてね。

 なんていうんでしょ、匂いですかね……。基地の中に年に2回ぐらい入れるんですけど、建物の中に入ると日本にない香りがして、「なんだこれは!?」って。柔軟剤の匂いなのか、雨上がりの芝生の萌える匂いなのか、ココナッツバニラの芳香剤なのか。初めてハワイに行ったときとか、海外の空港とかで感じるやつ。あと、全部がいちいちデカくて、雑(笑)。何でもテキトーだし。そうなると今度は日本のきめ細かさ、雅とか、わび・さびとかが恋しくなる。東京に住んで横浜が好きになったのと一緒で、両方愛おしくなりましたね。

 本牧にはいろんなお父さんがいますよ。僕なんて地味なぐらい(笑)。強烈なお父さんがいるんです。昔ほどではないですけど、国際色豊かですし。僕もずっと本牧(※注③)にいたわけじゃないんで、いろいろ転々としてまた戻ってきた感じなんですけど、相変わらずいろんな個性の人が生活してる(笑)。お父さんもお母さんも、良くも悪くも。こうなってきますと、「普通」の難しさを痛感したりします。例えば普通の会社員でプチおしゃれな人とかカッコいいなと思いますけどね。両極端なことをするのは簡単だけど、実は “普通” が一番難しいんです。普通でセンスよくするのが。それが出来てる人をたまに見ると「いいな~」と思う。「髪の毛の生え方から違うな」とか(笑)。

※注③:本牧
剣さんが小さい頃は、深夜族の巣窟だった地下の伝説的スポットがあったり、米軍跡地やベトナム戦争当時の米軍基地やその周辺の不良文化がまだ息づいていて、名状しがたい雑多な魅力がぷんぷん匂っていた。

 なんかそれって、人種や職業じゃなくて、センスや美学の問題だと思うんですよ。僕はやっぱりそういうものを持ってる人に憧れますね。そういう人のコスプレをやってるうちに大人になっちゃったっていう感じです。子どものとき、10代後半、その頃にいいなあと思った人のコスプレをやってる感じです。

 

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