画像: #24 手さぐりのウエディング その1

なんとなく、に終止符を打て!

以前、結婚式について書くつもりだったのに(#20)、麻ちゃんとギクシャクしてしまい、こんな気持ちじゃ書けない……と、見送らせていただいたのですが、少しずつ関係も修復してきたので、書かせていただきます。

麻ちゃんと暮らし始めて、数年が経ちました。まだ30代だった私たちは、友だちの結婚式に呼ばれることがありました。友だち好きで、お祭り人間の麻ちゃんのこと。結婚式は楽しいに違いない……と思うのですが、当時の麻ちゃんは、異性愛者の友だちの結婚式に出席するたび、ひどく気落ちしていました。

“異性愛者が普通” という世間との馴染みの悪さなのか、友だちがそういう世間に馴染んでいくことが寂しかったのか……。結婚式のひと月前から、だんだんと落ち込み始める麻ちゃんが不憫で、いつも励まそうとしました。しかし、励ましは一度も成功することなく、逆に怒られるばかりで、それは潔く諦めました。

そんな中で、私は思いついてしまったのです。
「私たちも結婚式をすれば、麻ちゃんは落ち込まなくなるんじゃないか?」

実際、それが正解だったのか、今となってはよく分かりません。この頃の私は、麻ちゃんに夢中で、“いつでも笑っていてほしい!” と強く思っていました。できるだけ幸せでいてほしかったし、麻ちゃんを幸せにしたい、という気持ちでいっぱいだったのです。異性愛のカップルなら、お付き合いして、プロポーズされて、婚約して、親に挨拶して、結婚式を挙げて、入籍して、新婚旅行に行き、一緒に暮らし、子どもが生まれ、という区切りがあります。しかし、出会った時には子どもが3人いて、親は反対していて、 “なんとなく” “ズルズル” 同棲した私たちに、そんな区切りはありません。そして、この “なんとなく” “ズルズル” というところに、頭の固い私は抵抗感を持っていました。

「結婚式、すごくいい気がする! 一緒に暮らすようになったのも、私の生活力の無さに、麻ちゃんが同情した末の話だし。そもそも将来を誓い合ったわけじゃない。こんな自分たちには、いいケジメになるし、記念になるのでは?」

今でこそLGBTの人も、結婚式を行うようになり、結婚式場でもLGBTについての勉強会が開かれていると聞きます。でも当時は、同性カップルの結婚式などまだまだ珍しく、私たちも出席したことがありません。それに “結婚式をしたからといって、入籍できるわけではない” ということも、重くのしかかっていました。「ごっこ遊びみたいで、逆にすごく落ち込むんじゃないか?」そんな気持ちもありました。思いついたはいいが麻ちゃんに言えず、しばらく悶々と考える日々が続きました。

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