画像: #23 女と坊主とおっぱいと その2

見た目問題、私の場合

手術を経て、治療も終わり、社会復帰することになりました。がんは、ある一定以上のステージになると、「治る」という概念ではなく、がんが落ち着いた状態「寛解」を目指すことになります。しかし、周りからは「もう治ったんだよね?」と言われ、ちょっと違うんだけどなぁ、なんて思うのです。この頃、ガッツリぶつかることになったのが “見た目問題” です。

手術が終わり、私はホルモン剤を10年にわたって飲み続けることになりました。このホルモン剤の影響で太る、太る。噂には聞いていましたが、あっという間に8キロ太りました!あらゆる服は入らなくなり、アンパンマンのように丸くなる。お腹は、天然の浮き輪をつけたかのようにタップリ……。歳も歳なので、まさにダルダル中年そのもの。そう、私にとっての見た目問題とは、“太る” ということでした。

その頃からでした。何をしても気持ちが晴れないのです。気晴らしにウィンドウ・ショッピングに行っても、「みっともないババアが、こんな綺麗な服を着るなど失笑!」と思ってしまい、半泣きで逃げ帰る始末。ショッピングは大好きだし、太って服が必要なのだから、買い物のチャンスのはず。それが、どうしても新しい服が買えない。かろうじて買えたのは、古着だけ。家中の鏡をひっくり返し、友人からは「そこまで自虐的になれるとは、ある意味、見事だね」と呆れられる始末。

そうこうしているうちに、いろんなことが素直に受け取れなくなりました。私に関係のない仕事のトラブルに「私なんかが復職したからだ」と落ち込み、麻ちゃんがご飯を作れば「私を役立たずと思っているんだわ」といった具合です。こうなると、人の言葉ひとつひとつに、自分を傷つける要素を探そうと必死です。

こう書いていると、「本当に、あの時はおかしかったなぁ」と分かるのですが、その時は自分がおかしいとは全く分かっていませんでした。そしてこれが、麻ちゃんとのギクシャク関係につながっていくのですが、その時の私は、「おっぱいがひとつ減ったから、麻ちゃんが冷たくなった!」と思っていました。それも行き着くところまで行き、「これは同じ立場の人に相談するしかない」と思い立ち、乳がんサバイバーのための電話相談を利用してみることにしました。

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