たてまえ一切なし! な、夫側による本音だらけの育児エッセイマンガ、『そのオムツ、俺が換えます』が話題だ。夫婦で育児をするのが「普通」に、やっとなりつつあるいまの時代の新しい育児本として、共感と非難を織り交ぜた反響が湧き上がっている。

イクメンに代表される、理想的な夫像とはかけ離れつつも、心から育児を頑張りたいことだけは噓ではない。そんな「育児アピール」をする主人公の姿は、どこか滑稽でありながらも哀愁もあり、リアリティ満載だと多くの男性読者からの共感と、母親たちの(イラつきも含めた)話のツマとしての人気を得ているらしい。

そんな、いわゆる育児エッセイとは一線を画す、育児エッセイの著者・宮川サトシさんが明かす、イマドキな夫婦円満の秘訣とは?

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画像: 夫の育児のレベルを上げた、偶然知る妻の本音とは?

『そのオムツ、俺が換えます』という夫目線の育児漫画を描き始めてもう1年になります。育児の現場における夫の本音をひたすら漫画にしてきて、SNS上では様々な共感や賛否のご意見をいただきました。

中でも「秘密の朝散歩」というエピソードは、これまでにない広い範囲に拡散され、多くの反響をいただきました。

 

秘密の朝散歩

娘が2歳になったばかりの頃、突然「お父さんだけイヤイヤ期」に入ったんですね、お風呂はお母さんじゃなきゃイヤ! みたいな。突然のことに僕は少し焦ったというか、妙に妻に対して悔しい思いを抱きまして……ある朝、まだ妻が眠っている時間に、「お母さんに内緒で今から遊びに行こう」と娘を連れ出しました。サプライズの早朝散歩に娘はワクワク、僕は誘拐犯の気持ちでドキドキでした。

いつも3人で出かける公園だし、娘と二人っきりで妻と何の打ち合わせも無しに出かけたのだから、妻はヤキモチ妬くかな? とか、少しは心配してくれるかな? なんて子供じみたことを思いながら、ひとしきり遊んで帰宅したのですが、そこで妻からは意外な反応が返ってきました。

 

熱いコーヒーが飲める幸せ

こちらの予想に反して、妻は上機嫌で出迎えてくれました。今すごく幸せな気分なのよ、とニコニコの妻。僕らが内緒で出かけている間、熱いコーヒーを熱いまま飲めて、それは娘が生まれて以来久しく無かった癒しの時間だったのだそうです。僕は正直、そんな些細なことが幸せなの?とびっくりしました。

妻に言わせれば、子供がいれば熱いコーヒーは火傷のもとで、手の届かない高いところに置いておいても、子供にかかりっきりになればコーヒーも冷めてしまう。妻はゆっくりコーヒーを飲みながら、「私がいなくても大丈夫なんだ……」と穏やかな気持ちで思えたそうで、それまで無意識に抱えていた育児への緊張も緩み、軽くなった気持ちのままコーヒーを味わい、雑誌まで一冊読み切れたのだとか。

思わぬことがきっかけで聞き出せた妻の本音。美味しい物を食べられる幸せや、自分を磨く幸せとは別に、熱いコーヒーをのんびり飲める幸せがあるということを、僕はこの時初めて知りました。

 

“ゆっくりしなよ” という回復魔法

それ以来、妻には「ゆっくりしなよ」と声をかけるようにしています。娘は俺が一緒に遊んでいるから、ゆっくりお風呂浸かってきなよとか、友達とゆっくりランチしてきなよとか。自分に余裕がある時はしつこく、何にでも「ゆっくり」をつけて声をかけます。言い方は穏やかですが、心の中のイメージとしては、「ここは俺に任せて、お前はゆっくりしろォ!」と叫んでいる感じ。ここぞ! という最高にカッコいいタイミングを見極めて言い放つわけです。

それぐらいしないと母親というのは「ゆっくり」できないものだと思うんです。どうしたって子供に対して完璧でいようとするじゃないですか。育児で失敗は許されない、そう思い込んでしまうのは父親である僕も同じで、気持ちはとてもわかるんです。

育児において夫の役割は、ドラクエで言うところの「戦士」だと思っていました。重い物を持ったり、車にチャイルドシートを取り付けたり、男らしいことをやるのが夫の育児。でもやってみるとそれは全然違っていて、パワフルな戦士でいようとするよりも、妻にコツコツと回復魔法をかけ続ける僧侶でいた方が家の中が上手くまわることもある。

ウチは、妻の方が何倍も上手い育児もあるし、娘が「ママじゃなきゃイヤ!」って言い出す時だってあるわけで……女の子だから、男が入れない領域も正直あります。そんな時は、どこかで妻に回復魔法「ゆっくりしなよ」をかけて、極力バランスを取るようにしています。

 

育児は卓球のダブルス

娘も3歳になり、ある程度自分でできることも増えました。最近は、育児も卓球のダブルスをやっているイメージでこなしています。育児は夫婦二人のもの、気づいた方が動けばいい。その際大切なのは声がけ、なんならハイタッチだって必要かもしれません。

僕らは人間なので、労いの言葉はやっぱり欲しいと思うんですよ。お互い自分の子を育てる、そんな当たり前のことでも「頑張ってるね」と認めてもらいたい。いつもより少ないウエットティッシュでおしりを綺麗にできた時、ナイス育児! って言ってもらいたいじゃないですか……あれ? 僕だけですかね……。

 

本音を知ってもらうことの利点

自分の育児の本音を描いた漫画を読み返してみると、なんてしょうもないことで悩んでたんだ……と思うのですが、妻は僕の本音を漫画で知るたびに、こんなことを考えてたんだ、幼児を前にした男の人って可愛いな……と感じるのだそうです。

本音がバレていれば、お互い弱音だって言い易い。育児の本音を共有するようになって、我が家は行き違いや揉め事が減り、夫婦間の育児業務連絡がスムーズになったように思います。

夫の本音を正直に描いただけの漫画ですが、育児の現場に役立てていただけたら幸いです。

Text:Satoshi Miyagawa

 

PROFILE

宮川サトシ Satoshi Miyagawa
岐阜県出身。2013年『東京百鬼夜行』(新潮社 / 全2巻)で漫画家デビュー。『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(新潮社)は大きな話題となった。現在、ベビモフにて『そのオムツ、俺が換えます』、WEB漫画サイト「くらげバンチ」(新潮社)にて『宇宙戦艦ティラミス(原作)』を執筆中。
twitter:@bitchhime

 

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