校長先生より年上という事実

 でも行事に参加したりとかは、全然躊躇しないし、運動会も俺一人で見に行ったこともあったし、競技にも参加してるし。初めはほんとそういうのに出るのが嫌だったけど、誘われるじゃないですか。で、それ断るのも嫌なんですよ。だったら全部出てやろうと思って、全種目出た年がありまして。保育園の運動会だったんですけど、園長さんが “保険はおりませんよ" って真顔で。俺がもし怪我しても保険金出ないって言うんですよ。年いってることは知ってるんですよ。周りのお父さんはみんな20代、いってて32~33ね。だから……やっぱり結婚は若い頃にして、なおかつ別れないのがいいですよ。それが一番上手いこといくんだなと思った。校長先生より年上ってダメですよ。そりゃ会長ですよ、もう。

 東京は、そういう点ではいいところですよね。色んな人がいる。俺みたいなのもいれば、外国人もいるし。「子育てがしやすいから」って地方に引っ越す人もいるけど、ちょっと変わった人はやりにくいかもよって。変わり種にはキツいよね、やっぱ、浮きますからね。都会はそういう意味ではいいですよ、みんなまちまちだから。

 

男の生きる道は、ゴキブリ退治

 子どもは家族の一員だと思ってるんですよね。一員が二員になったり三員になったりして増えてるだけで、自分が親で、相手は子どもで……みたいな感じではないですね。おむつしてる間は子どもだと思ってました。お母さんが夜中に授乳するとき、俺も一応、なんかしなきゃとは思うんですよ、男も。だからこうやって半身だけ起こす。半身起こして授乳が終わったらまた寝る。それもほら、気持ちじゃないですか。何もできないけど、俺も寝てないよっていう。

 お母さんと子どもとは違う部屋でがーがー寝てるやつは嫌だなぁと思ってたから、頑張って一応形だけは付き合ってたけど、でも何の役にも立たないんだよね。男にも一応おっぱいついてるのに、乳頭までついてるのに、なぜおっぱいが出ないんだと思う。これさえ出れば役に立つんですよ。ひとりで外にも連れていけるんですよ。ここ、神様の失敗だよね。乳ぐらい出てもいいのになと思うけどなぁ。

 いやもう浴槽の中でうんこされたりね。いろんなことがありましたよ。そういうとき手でうんこをわしづかみするのは俺の役だと思ってね。“大丈夫。うんこは取ったから” って言ったけど、誰もそのあと入らなかった。でも、添えもんだからね。俺、若い頃から機械いじりができなくて、パソコンなんかいまも使えない。よく女の子の部屋でステレオを直してくれって言われて、いじったらさらに壊れたりして(笑)。怒られたもんですよ。あと、力がないから引っ越しの役にも立たない。

画像: 男の生きる道は、ゴキブリ退治

 そんな男が生きる道はね、ゴキブリです。ゴキブリを捕るしかない。それは若い頃からそう決めてたんだけど、女の人の機嫌を取る才能がない男は、ゴキブリ退治だって。俺だってゴキブリ捕るのが好きなわけじゃないけど、それしかできないから、それで “ありがとう” と言われるならと思って。初めはティッシュで捕ってたんだけど、ティッシュでは一歩遅い。だからほんとは素手がいいんですよ。で、素手で捕まえるとね、“やめて” って言われる。“気持ち悪いから” って。それどういうことだろうと思ったけど、それが添えもんの人生なんですよ。

 とりあえず添えもんはそうやって、奥さんの機嫌を取るのが仕事です。奥さんの機嫌が悪いと家の中が暗くなるから。世界もそうじゃないですか。女の人の機嫌が悪いから戦争が起こってるんですよ。そうなんですよ。もうわかってるんですよ、俺は。トランプさんのところの嫁だって何だか機嫌が悪そうな顔してるでしょ。機嫌が悪い奥さんといる人は機嫌悪いんですよ。奥さんが機嫌がいいは機嫌いいんですよ。(安倍)昭恵夫人もいま機嫌悪いでしょう。やっぱりお互い機嫌よくいたいですよね。

 

▼後編はこちら

  

PROFILE

画像: PROFILE

みうらじゅんさん Jun Miura
1958年、京都府生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以降、漫画やイラストのみならず、エッセイスト、ミュージシャンなど、多岐にわたる分野で活躍を続けている。

’97年には造語 “マイブーム” で新語・流行語大賞、2005年日本映画批評家大賞功労賞を受賞。今年はみうらじゅん生誕60年を記念し、川崎市市民ミュージアムにて、“MJ’s FES みうらじゅんフェス マイブームの全貌展 SINCE1958”が開催された。

著書に『アイデン&ティティ』、『青春ノイローゼ』、『色即ぜねれいしょん』、『アウトドア般若心経』、『十五歳』、『マイ仏教』、『セックス・ドリンク・ロックンロール!』、『キャラ立ち民俗学』など多数。共著に『見仏記』シリーズ、『D.T.』などがある。

 

Photo:Chie Tatsumi Text:Chihiro Nishizawa Composition:Shiho Kodama

 

ご感想や応援メッセージ

掲載作品に対するご感想や応援メッセージが、こちらの送信フォームよりお送りいただけます。

なお感想以外のご質問、ご意見、ご要望、苦情などは、このフォームからお送りいただいても返信、対応ができかねますので、あらかじめご了承ください。

メッセージ送信にあたり、当社の個人情報保護方針をご確認ください。
講談社プライバシーポリシー

 

This article is a sponsored article by
''.