26歳で結婚、29歳で第一子を出産。
色々あったけれど
『すっごくいい奴だな〜』彼への思いは第一印象から変わらない。

画像: 26歳で結婚、29歳で第一子を出産。 色々あったけれど 『すっごくいい奴だな〜』彼への思いは第一印象から変わらない。

一人一人、好きな食べ物や個性が異なるように、妊娠や出産の仕方、子育てだってみんなと同じじゃなくてもいい。親子の数だけ子育ての仕方もあっていいはず。子どもと向き合う時間は限られているからこそ、子どもの成長を感じて笑い、ときに悩み、ときに泣き。無我夢中で子を育ててきた。

そして毎回、子育てを経験したパパとママに話を聞く「子育て、私の場合」。
今回はタレントとして、また女優として精力的に活動をしている小川菜摘さんにインタビュー。ダウンタウンの浜田雅功さんと作り上げた夫婦の形、初めての育児で戸惑い子と一緒に泣いた日々、子供の教育について迷いながら辿り着いた答え。

そして今。2人の息子は20歳を過ぎ、妻でもなく母でもない “小川菜摘” としての時間を、人生を、楽しんでいる真っ最中。

 

▼前編はこちら

 

親の七光りは通用しない世界
結果を出すのは自分の努力でしかない

思い起こせば、長男が生まれて間もない頃、小川さんと浜田さん夫婦には、今も忘れられないつらい出来事があった。

画像: 親の七光りは通用しない世界 結果を出すのは自分の努力でしかない

「長男が4ヵ月くらいのときに大病をしたんです。そのときに夫が『こんなことがあったから、こいつはもうとにかく生きていてくれればいい。何してくれても、ええよな』って言って。『本当にそうだね』って、2人で言い合っていたことがすごく印象深いですね」

そんな長男も現在27歳。そして芸能界の花道を歩く両親を持った彼が選んだのは、親とは異なる音楽の道だった。学生時代の友人達と組んみ"OKAMOTO'S"としてメジャーデビューを果たす。ベースを担当しており、日本人初の米国フェンダーとのエンドースメント契約を交わす。海外ツアーも経験。実力派のロックバンドとして、若い世代から圧倒的な人気を得ている。

親の敷いたレールに乗る選択肢ではなく、厳しい実力社会の中で一生懸命努力して自分の人生を切り拓いていく。息子が自分の信じた道を進むその姿は、親の目にも頼もしく写っている。

「だって、自信のないまま、自分以外の誰かの船に乗って航海したとしても、それは自分の力じゃないって、自分自身が1番わかっているんですよ。そんな悲しいことないですよね。『これだけは人に負けない!』という強い気持ちを持っていた方が幸せじゃないですか。

「私の父親が音楽をやっていた事もあって、二人の息子は小さい時から音楽に関しては父に影響を受けていました。だから長男はおじいちゃんに感謝していますね」

 

大切なのは、子どもが何か間違えたときにそこで立ち止まって、どう対応するか

自分の好きなことを仕事にするため、努力してきた両親や兄をずっと見ていたからだろうか。次男もまた、自分のやりたいことは何なのか? を常に意識しながら成長してきた。

中学卒業後は、本人の強い意志でアメリカの高校に留学。無事に高校を卒業した後は、現地の芸大を経て、現在は日本の大学に通っている。

「息子たちは幼稚園からずっと同じ学校でしたが、2人とも1回として『今日は行きたくない』って言うことがなかったんですよ。それは本当にありがたかったですね。私自身、そのときどきの担任の先生方には、目からウロコが落ちるようなことをいっぱい教わりました。

一貫して、自立した一人の人間として強く生きていくための力をつけることをモットーとしている学校だったので、『自分の気持ちをちゃんと口に出して言いましょう』ということを3歳児から教育してきたんです。

たとえば、幼稚園の帰りの会で、先生が『今日一日を振り返って、嫌だったことと楽しかったことをみんなで話しましょう』と言って、子どもたちは『〇〇ちゃんにバカって言われて、すごくいやでした』とか話をする。ささいなことなんだけど、それを言えるようになることが大事であって。

ほかにも、父母会では先生に『今日、〇〇ちゃんが、□□ちゃんのものを盗って、こういう悪さをしました』とか、親にしてみたら、ものすごく恥ずかしいことも平気で実名でガンガン言われるんです(笑)。それがね、高校まで続くんですよ。

恥ずかしい思いもいっぱいしてきたけど、そのおかげで親同士が『じゃあ、この問題について、みんなで話し合いましょう』っていうスタンスに自然になるんですよね。何かトラブルがあったときに『うちの子にかぎって!』じゃなくて、『もしかしたら、うちの子かもしれない』と思えるようになったのは、幼稚園からの指導の賜物ですね」

子どもにとっても、何か悪いことをしてしまったときに、正直に気持ちを打ち明ければ、親は必ず受け止めてくれる――ということを、小さい頃から体験として分かっているのと、いないのとでは、安心感が違うはず。

「そうなんですよ。人間には魔がさすときがある、と。子どもが小さかろうが、大人になっていようが、間違いをおかすことはあるから。大事なのは、間違えたときに、そこで立ち止まって、どう対応するか。もう1回、前を向いて歩けるのかどうか、なんですよね。私が考えるに、生きる力を付けてあげることが教育であり、そしてそれが親の役目であるってことなんですよね。

私も自分の精神状態があまりよくないときは子どもにつっけんどんな言い方をしちゃうことが多々あって。そんなときは『さっき、あんな言い方しちゃったけど、お母さん、ちょっとイライラしていた。ごめんね』って、子どもにいまだに謝っていますね。

子どもにも、友達とか接する人に対して『ごめんなさい、ああいうことをしてしまって』と謝れる人であってほしいから。素直に『ごめんなさい』と言える力は持っていようね、という願いは、やっぱり大人が示していかなくちゃいけないことだと思うんです」

 

挑戦することって、大変だけど、
すごく楽しい
親自身がその姿を見せることが一番いい教育なのでは

画像: 挑戦することって、大変だけど、 すごく楽しい 親自身がその姿を見せることが一番いい教育なのでは

大好きだったがゆえに、子育て期間中はずっと離れていた舞台の仕事には、50歳のときに復帰。「50代になってから、本当に第二の青春が来ているみたいな感じ!」と、小川さんは爽やかな笑顔を見せる。

「50歳になったらやろう、と決めていたわけでは全然ないんですよ。これがまたご縁でね。以前、渡辺いっけいさんとドラマでご一緒させてもらったときに、いっけいさんに『菜摘ちゃん、舞台やらないの?』って聞かれたんです。『来年、50歳の役者10人で劇団を立ち上げるんだけど、菜摘ちゃん、同い年だからさ』って。え!? そういえば、子どもも大きいし……あ、ついに来た、私! って思った瞬間、『やりたいです!』と二つ返事で受けていました(笑)。

私は長年、バラエティの仕事が多かったので、やっぱり世間的にはタレントさんのイメージしかないんですよね。事務所にも『舞台がやりたい』とは言っていなかったし、自分からは動いていなかったんですよ。それでも、ずっと心の中で、いつかは舞台女優としての仕事がしたい……と願っていたので、いっけいさんに声をかけていただいたときは、本当に嬉しかったです。

そのつながりで、共演した役者さんや関わった方に、また別の作品に呼んでいただいたりして。舞台復帰から5年ちょっと経つんですけど、やっと最近、あ、この人は役者さんで、舞台やるんだーって、ちょっとずつ認知され始めてきたというか。

だから、本多劇場とか、ザ・スズナリとか、いわゆる芝居の聖地といわれる劇場の舞台に立って、カーテンコールで『菜摘から』ってコメントを振られたりしちゃうと、もう感激で泣いちゃうんですよ。みんなにはいつも『あんた、ババアのくせに、新人女優じゃあるまいし!』って、すっごく笑われるんですけど(笑)」

24年ぶりに舞台に復帰する前、小川さんは家族全員に「舞台やりたい!」と宣言。もちろんみんな大賛成してくれ、舞台も観に来てくれた。

「舞台が終わった後、3人から一斉にメールが届いたんです。3人とも『お母さんはこれがやりたかったんだね!』、『おまえはこれがやりたかったんやな。これからは自分の好きな仕事をやりや』みたいなことを言ってくれたので、嬉しかったです。その後も、私が出演する舞台は観に来てくれます。夫も子どもたちも『ようやるなー』って、おもしろがっていますね。私も演じながら思いますよ。一体どんな気持ちで観ているんだろう、自分の妻が、母が、チアガールの格好で踊っている姿を……って(笑)。

挑戦することって、大変だけど、こんなに楽しい。好きなことはあきらめないで、目標を持っていれば、いつか実を結ぶんだなっていうことは、夫と私の背中を通して、子どもたちも分かっているんですよね。だから2人ともなかなかあきらめない(笑)。本当は人生には努力しても実を結ばないこともあるわけだけど……そこをまた起き上がって生きていく力をつけてあげることが、親から子どもへの一番のプレゼントだと思っています。

そしてまた彼らが自分の家族を持って、生まれた子どもに同じことを実践してくれたときが、本当の意味での、私の子育ての終わりなのかなって。そう思ったら……子育て、全然まだまだ終わらない(笑)」

 

PROFILE

画像: PROFILE

小川菜摘 Natsumi Ogawa
東京都出身。1978年『ゆうひが丘の総理大臣』でデビュー後、文学座演劇研究所入団。以降、数々のテレビドラマや映画に出演。2012年『いつかみた男達~ジェネシス~』で舞台復帰。以降『寝盗られ宗介』『愛の終着駅』『さがり』『シェイクスピア物語』『のど自慢』『おねだり』URASUJI2017『ちんもく』『泣いたらアカンで通天閣』など多数出演。

 

Photo:Reiko Tohyama Text:Keiko Ishizuka Composition:Shiho Kodama

 

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