26歳で結婚、29歳で第一子を出産。
色々あったけれど
『すっごくいい奴だな〜』彼への思いは第一印象から変わらない。

画像: 26歳で結婚、29歳で第一子を出産。 色々あったけれど 『すっごくいい奴だな〜』彼への思いは第一印象から変わらない。

一人一人、好きな食べ物や個性が異なるように、妊娠や出産の仕方、子育てだってみんなと同じじゃなくてもいい。親子の数だけ子育ての仕方もあっていいはず。子どもと向き合う時間は限られているからこそ、子どもの成長を感じて笑い、ときに悩み、ときに泣き。無我夢中で子を育ててきた。

そして毎回、子育てを経験したパパとママに話を聞く「子育て、私の場合」。
今回はタレントとして、また女優として精力的に活動をしている小川菜摘さんにインタビュー。ダウンタウンの浜田雅功さんと作り上げた夫婦の形、初めての育児で戸惑い子と一緒に泣いた日々、子供の教育について迷いながら辿り着いた答え。

そして今。2人の息子は20歳を過ぎ、妻でもなく母でもない “小川菜摘” としての時間を、人生を、楽しんでいる真っ最中。

 

出産後、生き生きと仕事をする夫に対して自分の中に一瞬、やきもちと焦りが芽生えた

ダウンタウンの浜田雅功さんとの結婚生活は、実に30年近くになる小川菜摘さん。第1子となる長男を出産したのは29歳のとき。

結婚した時はちょうど浜田さんが関西から東京に進出して間もない頃だった。

「当時はプレッシャーがすごく大きかったですね。自分の仕事はセーブして、夫をサポートしなきゃいけない。母になるんだから、子育てもきっちりやりたい。その決意は固まっていたんですけど、それまではとにかく仕事をたくさんしていたので、いざ子育てのみ生活が始まったら、自分はどう変わっていくんだろうと……。不安な気持ちでいっぱいでした」

「私は家で髪振り乱して、仕事もセーブして、育児をがんばっているのに、夫は今までと何も変わらずに生き生きと仕事をしていて。本当にありがたいことだと思いつつ、たぶん同業者だったせいか、やっぱり多少のやきもちと焦りがありましたね。ほんの一瞬だったんですけど。そういう気持ちが自分の中に芽生えたのは、ちょっと驚きでした。やっぱり嫉妬するんだーって(笑)。だからといって、夫に『あんたばっかり!』みたいなことは、まったく言いませんでしたけど」

それどころか、小川さんは仕事をセーブするだけでなく、趣味としての舞台の鑑賞も封印してしまう。芸能活動の中でも特に大好きだった舞台への想いを断ち切るためだ。

「舞台の仕事は地方公演もありますし、自分でスケジュールを組むことなんてできないので、子育て中は難しいなと。それに、仕事に関係なくても演劇を観に行ってしまうと、確実にやりたい虫がうずくのが分かっていたので、ずっとがまんしていたんです。誰かに言われたとかではなく、自らそう決めて蚊帳の外に置いたんです」

 

ミルクを飲まない赤ちゃんに悩んで
いつしか育児ノイローゼ気味に……

お母さん1年生の小川さんにとって、はじめて腕に抱く赤ちゃんはあまりにも可愛く、その子育ては予想をはるかに超えて大変だった。

「長男は身体も弱くて、粉ミルクも全然飲まなくて。私の母乳が2ヵ月で止まってしまったこともあって、生後3~4ヵ月の頃はとにかく精神的につらかったですね。私、各メーカーが出している哺乳瓶の口を全種類買いましたもん。(笑)ミルクもいろんなものを試してみて。でも、やっぱり飲まなくて。

母親に相談しても悪気なく『あなたのやり方が悪いからじゃない?』と言われ、同時期に出産した友達に聞いても『え? うちの子、180ccくらい飲むよー』とか言われると……余計にストレスがたまるんですよね。育児雑誌を読み漁って、後ろのページに紹介されていた “赤ちゃんダイヤル” に電話したこともあります。でも結局、みんな言うことが違うんですよ。

それで、自分なりに方法を編み出したんです。まず、電話のモジュラーをはずして、玄関に『チャイムを鳴らさないでください』の張り紙をして、カーテンを閉めて、部屋を暗くして、赤ちゃんを抱っこして、ウトウトって眠りかかったときに、哺乳瓶を口に入れると、ちょっと飲んでくれるんですよ! でも、3~4時間ごとの授乳を、そんなふうにずーっと繰り返していたら、なんだか育児ノイローゼ気味になってしまって……自分も睡眠不足だった為……」

そんな小川さんを救ってくれたのは、やはり一番そばにいる浜田さんだった。

「私の姿を見かねた夫に『このままだとおまえがおかしくなるから、やめろ!』、『1回や2回ミルクを飲まないくらいでは死なない』、『俺がいるときは、俺が交代するから、おまえは少し寝ろ!』って言われて(笑)。そうだよねー、大人だって三食決まった時間に食べたくないときがあるよね、ちょっと心に余裕を持とう、と思わせてくれたのは夫でしたね。

夫は一緒に悩んでくれる人だったので、私も彼の仕事が忙しいからと遠慮せずに、もうストレートに『泣く意味が分かんない!』とか『私が何時間もかけて作った離乳食を一口も食べないんだよ!』みたいな愚痴をすごくぶつけていました。だから、お母さん1年生の人には、本に書いてあることにとらわれたり、他の子どもと比べたりするのはやめたほうがいいよ、って言いたいです。そして誰かに頼る! 自分ひとりでは、はじめての子育ては無理(笑)」

 

出会いのきっかけはドラマの共演
すっごくいいヤツだな~が第一印象

画像: 出会いのきっかけはドラマの共演 すっごくいいヤツだな~が第一印象

小川さんと浜田さんのなれそめは、2人がまだ20代半ばの頃、関西ローカルで放送されたドラマ『ダウンタウン物語』での共演にさかのぼる。

「ドラマの撮影の待ち時間に、彼が子役の女の子とずっと楽しそうに遊んであげている姿を見て、あぁ、この人はすごく子ども好きなんだなぁっていう印象を持ちました。あと、そのドラマは私以外、スタッフさんも出演者も全員、関西出身だったんです。それで、彼がとにかく私を気づかってくれたんですよ。東京から一人で来ているし、知っている人もいないからなるべく輪に入れてあげよう、という感じで。スタッフさんのことも本当に大事にしているし、エキストラ一人ひとりにも声をかけるし、この人、すっごいいいヤツなんだな! って(笑)。結婚して30年近くになりますが、そのときから彼はなんにも変わってないですね」

浜田さんが子どもたちにとって、どんな父親であるかは、子どもたちのお父さんに対する様子を見ていればよく分かる。

「息子たちはもう27歳と23歳ですけど、今でもお父さんが大好きですし、すごく尊敬しています。何かの決断のときには、必ずお父さんの意見を聞いていますしね。で、やっぱりいまだに一番怖いのもお父さん(笑)。母親なんて、子どもがちっちゃいときから四六時中怒っているので、何を言っても、たぶん右の耳から左の耳なんですよ。だから、これ、私じゃダメだなっていうときは『分かった、じゃあ、お父さんに話します』って言うと『あっ、お父さんにだけは言わないで!』ってなる。うちの最終兵器ですね(笑)」

最終兵器・お父さんは、とりわけ息子たちが思春期で反抗的になっていた頃に大活躍。

「反抗的な態度をとるのは私に対してだけなんですよ。お父さん、怖いから(笑)。なので、私は常に夫に報告していました。今こうで、ああで、って。『なんやとー!』ってなるときもあれば、『じゃあ、まだ俺、言わんでええな』ってタイミングを測るときも。ただ、私たち夫婦の間では、どちらかが怒っているときは、どちらかはフォローにまわろう、という暗黙のルールがありましたね。お父さんにガーッと怒られた後は、私が子どもの話を聞く側にまわってあげないと。2人して怒っちゃうと、逃げ場がなくなっちゃいますからね」

 

子どもたちの前での夫婦ゲンカはNG
ケンカする日は実家に預けます(笑)

息子さんたちがお父さんのことを深く尊敬しているのは。なんといっても浜田さんが父親として、仕事人としての背中をきっちり見せているから。と同時に、小川さんの芯が一本通ったブレない子育て方針のおかげでもある。

「この家を支えているのはお父さんだし、お父さんががんばっているから、あなたたちの生活がある。お父さんの仕事は本当に大変だけど、すばらしい仕事だよって、ずっと教えてきました。だから、私は子どもたちに父親の愚痴を言ったこともないし、ちょっとした口ゲンカを含めて、子どもたちの前で夫婦ゲンカをしたことも1回もないです。それはいまでも。

だからといって夫と全くケンカしないというわけではなくて。自分の中でここを超えるとコップから水が溢れるな、というタイミングでその都度話し合いの場を設けてきました。そうやってケンカする日は子どもたちを実家に預けていました。母親に『ちょっと今日ケンカするから、子どもたちを見ていてくれない?』って言って(笑)。もうちっちゃい頃から。

実はうちの両親が私の前ですっごくケンカする夫婦だったんですよ。(笑)だから、いわゆる反面教師ですよね。子どもの頃は『関係ないじゃん、私!』って思っていたし。自分が家庭を持ったときは、絶対に子どもの前でケンカするのはやめようと思っていました。夫もそれはやりたくないんじゃないですか。子どもたちの前で、いがみ合う姿を見せたくないっていう気持ちは、たぶん彼も一緒だと思う」

▼後編はこちら

 

PROFILE

画像: PROFILE

小川菜摘 Natsumi Ogawa
東京都出身。1978年『ゆうひが丘の総理大臣』でデビュー後、文学座演劇研究所入団。以降、数々のテレビドラマや映画に出演。2012年『いつかみた男達~ジェネシス~』で舞台復帰。以降『寝盗られ宗介』『愛の終着駅』『さがり』『シェイクスピア物語』『のど自慢』『おねだり』URASUJI2017『ちんもく』『泣いたらアカンで通天閣』など多数出演。

 

Photo:Reiko Tohyama Text:Keiko Ishizuka Composition:Shiho Kodama

 

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