画像1: 《こどもちゃれんじ番外編》育てる絵本。

豊かな活字体験を経て育った人は、どんな絵本に触れて育ってきたのか、そして大人になってからどんな絵本をお子さんに与えているのか。それを紐解くことで、私たちも、世に溢れる絵本の中から、子どもに読み聞かせたくなる一冊に出合えるのではないか。

王道にベストセラーの中から子どもの年齢に合ったものを選ぶのもいいけれど、親の淡い期待で素敵なあの人と同じ絵本を手に取ってみたら……なんて(笑)。本を好きな人ほど、自由な本の選び方をしている。頭でっかちにならずに新しい絵本の選び方、してみませんか

 

作家
辻村深月さん
Mizuki Tsujimura

画像: 作家 辻村深月 さん Mizuki Tsujimura

 1980年、山梨県出身。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147 回直木三十五賞を受賞。近著に『かがみの孤城』、ミステリーアンソロジー『宮辻薬東宮』など。

 

読書は義務じゃない。
絵本はお菓子のように小出しにすると、
特別感のある存在に。

『ぼく、仮面ライダーになる! オーズ編』

画像: 『ぼく、仮面ライダーになる! オーズ編』

作:のぶみ ¥1100 / 講談社

仮面ライダーが大好きな男の子、かんたろうを主人公にしたシリーズ。宝物の仮面ライダーオーズのおもちゃを、勝手に持ち出す妹のアンちゃんに怒ったかんたろう。すると、何者かがアンちゃんを連れ去ってしまい……。
「妹ができたことでの兄の葛藤を描いたオーズ編はこのシリーズの中でも特にグッときます。のぶみさんの絵本は息子の友達の間でも大人気。寝る前の読み聞かせで、ヘビロテの一冊です」

この絵本を読み聞かせするときは、主人公を息子さんの名前に替えて読むことが多く、妹が生まれる前までは彼も素直に聞いていたのだが……。

今は、お兄ちゃんが妹にやきもちを焼くという話に身に覚えがあるせいか、息子の名前で読むと『もうやめて!なんで僕じゃないのに、僕って言うの?』って、怒るようになってきて(笑)。この恥ずかしいという感覚も成長なんだろうなぁと。

辻村さんは、「子どもが本を読まない」という悩みを相談されることも。

『本を読ませなきゃ』と、どこかで義務のようになってしまっていると思うんです。でも私自身がどうしてこんなに本好きなのかというと、純粋に読書が楽しみのひとつだったから。母親には『目が悪くなる』とか『もう読むのをやめなさい』と言われていて。禁止されたからこそ、ムキになって読んだという(笑)。

もしかすると、本好きに育てたいなら、ある程度の制限が必要なのかもしれません(笑)。そしてお母さんたちに、声を大にして言いたいのは『読むものを、いい本、悪い本と決めつけないでほしい!』ということ。

どんなジャンルも、読んだら楽しくて、おもしろい―私がずっと無条件にそう思える土壌を作ってくれたのは、たぶん就学前に触れた絵本だったのだと思います。絵本って、“読書の入り口” ですよね。

 

絵本作家
ヨシタケシンスケさん
Shinsuke Yoshitake

画像: 絵本作家 ヨシタケシンスケ さん Shinsuke Yoshitake

1973年、神奈川県出身。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。2013年刊の絵本デビュー作『りんごかもしれない』で第6回MOE 絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞、他に『りゆうがあります』『もう ぬげない』など。

 

子どもの頃と、大人になった後、
人生で2回出会えるのが
絵本のすばらしさ。

『やっぱりおおかみ』

画像: 『やっぱりおおかみ』

作・絵:ささきまき ¥900 /福音館書店

ひとりぼっちの子どものおおかみは、仲間を求めて、様々な町へとさまようが、どこへ行っても仲間は見つからない……。コミック誌“ ガロ” でマンガを描いていた佐々木マキの絵本デビュー作。今までの絵本にはない斬新なテーマで40 年以上にわたるロングセラーに。
「子どもの頃は意味が分からなくても、何十年か後にもう1回読んで『すごい!』って思う。そんな絵本を僕も作りたい」

幼い頃は、読んでも意味がほとんど分からなかった。それでも、絵がかわいくて、好きでよく読んでいました。で、大学生のとき、書店で見かけて再読したら……『こういうことが書いてあったんだ!』って

ひとりぼっちの子どものおおかみが「自分は自分しかいない」という結論にいたるまでの迷いと葛藤。確かに小さな子どもにとっては、少々難しいテーマではあったのだけれど……。

絵本って、印象に残れば、大きくなってから、もう一回読んでもらえる可能性があるんですよね。そんなふうに “人生で2回出会うことができる絵本” が、僕にとっての理想的な絵本。何もかもちゃんと分かることだけが大事なわけではなくて。分からない部分がかえって魅力になることもある。子どもが『これ、分かりたい』って興味を持つことは “大人になりたい” という、成長することへの希望にもつながるはずなんです。

母に、読み聞かせもたくさんしてもらったというヨシタケさんだが、読み聞かせについては、複雑な思いがある。

子どもが自分の好きなときに好きなものを、好きなペースで読める。それが絵本のよさなわけで。僕自身、こっち読んで、あっち読んで……という読み方が好きだったので、僕が作る絵本も読み聞かせには向いてません(笑)

 

作家
山崎ナオコーラさん
Nao-cola Yamazaki

画像: 作家 山崎ナオコーラ さん Nao-cola Yamazaki

1978年、福岡県出身。2004年『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を受賞し、作家活動を始める。他に、『ネンレイズム/開かれた食器棚』、『美しい距離』、エッセイ集『かわいい夫』、『母ではなくて、親になる』などがある。

 

ページをめくるのがおもしろい、
紙を破くのがおもしろい、でも十分。
絵本はどんなふうに楽しんだっていい。

『しきぶとんさんかけぶとんさんまくらさん』

画像: 『しきぶとんさんかけぶとんさんまくらさん』

作・絵:高野文子 ¥900 /福音館書店

夜眠る前、男の子が「おしっこがでたがりませんように」「おっかないゆめをみませんように」と、おふとんたちにそっとお願いをする……。人気漫画家・高野文子初の絵本。寝る前に不安な気持ちになった子どもが、安心感に包まれて眠ることができる温かいストーリーが魅力。

子どもが夜寝るときのことをモチーフにした絵本が世の中にたくさんある中、これは『子どもは早く寝なさい』みたいな大人目線の啓蒙的な匂いがまったくないところがすごくよくて。

ただ、子どもに寄り添って、おふとんたちの気持ちを描くっていう、その姿勢がすばらしいなと思いました。絵もすごくデザイン的で、大人が読んでいてもかっこいい! と感じます。

子どもがまだ何も分からないうちから本を読んであげようと、出産前から心に決めていた。実際に絵本の読み聞かせを始めたのは、子どもが生後2ヵ月の頃だ。

赤ちゃんって、最初はまだ視力がよくなくて、黒、白、赤などコントラストの強い色しか分からないみたいなんです。だから赤ちゃん向けの絵本『あかあかくろくろ』を顔から20㎝ くらいの距離まで近づけて『見えている!』って、夫と喜び合ったりして(笑)

本っていうと、つい勉強のためだと思いがちですが、空想や逃避の手段として、ただ楽しんでほしい。私自身、今でも、読んでいる本をちゃんと理解できていないことも多くて。

でも、分からないままページをめくるっていうのが、人生大事なんじゃないかな。だから『よく分からないけど、おもしろいからめくろう』っていう感覚を大切にしていってほしいですね。

 

★インタビューの全文&他のオススメ絵本の
紹介は、こちらから→ 育てる絵本。

Illustration:Yuka Hiiragi Interview&Text:Keiko Ishizuka

 

画像2: 《こどもちゃれんじ番外編》育てる絵本。

 

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