今月の人。

画像: 今月の人。

( 映像ディレクター )
古屋雄作さん

1977年、愛知県生まれ。上智大学卒業後、テレビ制作会社に就職。2004年、テレビディレクター業務の合間に自主制作した映像作品『スカイフィッシュの捕まえ方』がビクターエンタテインメントの目に留まり、DVDとして発売される。独立後は、撮り下ろしのオリジナルDVDを中心に、テレビドラマ、書籍、ウェブ動画、マンガ原作など、様々なジャンルで活動。
 
主な作品に累計15万枚のDVD『人の怒らせ方』シリーズ(ビクターエンタテインメント)、連続ドラマ『神話戦士ギガゼウス』(関西テレビ)、『ダイナミック通販』(TBS)などがある。またミュージシャン “ノリアキ” や “ミルクラッパーShibori” などをプロデュース。
 
著作『うんこ漢字ドリル』(文響社)は、発売から3ヵ月で累計266万部を突破した。『うんこ漢字ドリル』の新シリーズ『うんこ漢字ドリル テスト編』が3月に発売予定。

 

「うわ! 次どうなるの!?」という
子どもの “ページめくり欲” を
上手く掻き立ててくれるのが楽しい

『ねずみくんのチョッキ』

画像: 『ねずみくんのチョッキ』

作:なかえよしを 絵:上野紀子 ¥1000/ポプラ社

おかあさんが編んでくれた赤い可愛いチョッキは、ねずみくんのサイズにピッタリ。そこへ、あひるくんがやってきて「ちょっと 着せてよ」と借りました。あひるくんがチョッキを着ていると、今度はさるくんがやってきて……。次々に動物の仲間たちが赤いチョッキを着ていくうちに、チョッキはどんどんのびてしまって……。

「僕が小さい頃に家にあって、ページをめくるたびに『うわ! うわ!』って思いながら読んでいました。娘に読み聞かせしたときも、ニコニコしながら、食い入るように見ていました。『次、何が出てくるんだろう?』っていう、どんどんエスカレートしていく感じが楽しいんでしょうね。絵の色使いやデザインもすごくかっこいいです」

 

どんなストーリーもユーモアと共に
受け入れるのが、絵本の懐の深さ

“日本一楽しい漢字ドリル” と銘打って、まじめすぎて退屈なイメージが強かった学参書界に革命を起こした大ベストセラー『うんこ漢字ドリル』

著者の古屋雄作さんはドリルを制作中、よく本屋さんの教育書や児童書のコーナーに行っては、いろんな本をチェックしていたという。そんなとき「あ、これ知ってる」と、手にしたのが、幼い頃によく読んでいた絵本『ねずみくんのチョッキ』である。

画像: どんなストーリーもユーモアと共に 受け入れるのが、絵本の懐の深さ

「改めて久しぶりに読んでみると、僕が記憶していたよりも、かなりかわいそうな話だったのでビックリしました(笑)。

ねずみくんのお母さんが編んでくれた大事なチョッキを、ほかの動物たちが寄ってたかって無理やり着て、結局ダメにしてしまう。ねずみくんがうなだれて、トボトボ歩いている後ろ姿は、見ていて心が痛くなりましたよ(笑)。でも、最後のシーンでちゃんと救いがあるんですよね。

読み手に『あーっ、どうなっちゃうんだろう?』と思わせる “主人公を困らせる話” は、絵本ではけっこう王道かもしれません。ピンチによる不安や緊張感をあおって、手に汗にぎるようなドキドキ感を盛り上げる。短いお話の中にも “不安と解放” のドラマがしっかり描かれているんです」

映像クリエイターという肩書きにはとうてい収まりきらないほど、さまざまな創作活動をしている古屋さんにとって、絵本作りもまた大いに興味のあるジャンルのひとつだ。

「いろんな絵本を読んで感じたのは、絵本って、やっぱり子どもが次のページをめくりたくなる “めくり欲” をいかに掻き立てるかが大事だということ。そのための切り口はひとつでいい、というか、あんまり複雑なことをしなくていいんだなって思いました。

実は今、温めている絵本のアイディアがあって、僕の中でタイトルも決まっているんです(笑)。いつか必ず実現したいですね」

 

黄色はキャラクターにとって
“華” のある最強カラー!?

シリーズ化されるような人気作品には、子どもを惹きつける魅力的なキャラクターの存在が欠かせない。

古屋さんの『うんこ漢字ドリル』にも “うんこ先生” という異色キャラが登場し、今やグミやキャンディ、和菓子といった食品も含む多くのアイテムが次々と生まれるほど絶大な人気を誇っている。

「あのキャラを作っておいてよかった、としみじみ思います。実は “うんこ先生” はけっこうギリギリまでピンク色のキャラだったんですよ。もうひとつの候補は今の黄色。最高に悩んだんですけど、人気の高いキャラクターといえば、ピカチュウ、プーさん、ミニオンズ……どれもみんな黄色じゃん! という話になって。

考えてみれば、うちの娘が大好きな絵本『ノラネコぐんだん』シリーズのノラネコたちも、やっぱり黄色ですし(笑)。

ピンク色だと女の子のイメージが強くなっちゃうけど、黄色だと男の子と女の子、両方いける。黄色って、キャラクターに使う色として、華のある色なのかなと思いましたね」

 

設定力と演出力を鍛えてくれる
おままごと遊びと物語作り

現在、5歳の娘さんのパパでもある古屋さん。天気のよい休日には、家の近くの多摩川に出かけて、一緒に遊ぶことが多い。アウトドアという環境においても、運動系より、おままごとなどのごっこ遊びを本気で楽しむというお子さんのスタンスには、すでにクリエイター気質の片鱗が感じられる。

「僕が『散歩に行こうか』と声をかけると、『これ持っていく、これも持っていく』と、自分のいろんなおもちゃをバッグに入れて。川原に着くと、ベンチに座って、家と同じおままごと遊びが始まるので、僕がそれに付き合うっていう感じですね(笑)。

いわゆるおままごと、というより、コントというべきか、『これとこれがオリジナルの友達っていうことにするよ』とか『お父さんが座っている場所の下はマグマなんだから!』とか、ディテールにいたるまで設定を作っているんですよ。そこまで細かい演出をするのかー!? って思うくらい(笑)。

娘は絵を描いたり、紙を切って貼ったりする手作業も好きで、最近は “うんこ先生” が主人公の物語を絵で描き始めました。設定を作って演出する、って、今まさに僕が仕事でやっていること。こんなところでも、親子って、やっぱり似ちゃうのかなぁと思いますね(笑)」

 

【古屋さん、これもオススメ。】

ちょい悪だけど
愛らしいキャラクターと
大人もニヤリとするシュールな笑い

『ノラネコぐんだん パンこうじょう』

画像1: 『ノラネコぐんだん パンこうじょう』
画像2: 『ノラネコぐんだん パンこうじょう』

作・絵:工藤ノリコ ¥1200/白泉社

おいしそうなパンが気になるノラネコぐんだん。夜中にワンワンちゃんのパン工場に忍びこみ、見よう見まねでパンづくりに挑戦!? 食いしん坊のノラネコぐんだんが巻き起こす、にぎやかで楽しい大騒動! 大人気の “ノラネコぐんだん” シリーズの記念すべき第1作。

「妻が友達から『今すごく流行っている』と、プレゼントしてもらった絵本です。僕もこの絵やデザインはいいなぁと思いました。もちろん娘も大好きで、一時期はこの絵本をよく持ち歩いていたくらい(笑)。“〇〇ぐんだん” という言葉も気に入っていましたね。

ネコのキャラクターがゆるキャラで、ただかわいいだけじゃなく、ちょっと腹立つっていうか(笑)、悪いこともするんだけど、憎めない愛嬌があるんです」

 

シンプルなストーリーの中に
ジェットコースター的なスリルがある

『おつきさま こんばんは』

画像: 『おつきさま こんばんは』

作・絵:林明子 ¥800/福音館書店

静かな夜の空。ネコが寝そべる屋根の上が明るくなって、しだいに金色に輝くまん丸いお月さまが出てきました。『お月さま こんばんは』。ところが、そこに黒い雲がやってきて、お月さまの顔が完全に見えなくなってしまい……。

「これも『次、どうなるんだろう?』っていう気持ちにさせられる絵本ですね。お月さまが黒い雲に隠れちゃったけれど、やがて雲が去って、またお月さまが出てきた……というだけのシンプルな話なんですよ。なのに『あぁ、お月さまが雲に隠れちゃった! どうする、どうする!?』っていうジェットコースター的なスリルがある(笑)。

とても読みやすいので、娘にすごく読み聞かせしてあげた記憶がありますね。裏表紙で、お月さまがおちゃめにアッカンベーをしている絵にも娘は反応していました(笑)」

 

果物に隠れている動物はだーれ?
シンプルなしかけに驚きがいっぱい

『くだもの だーれ?』

画像: 『くだもの だーれ?』

作・絵:よねづゆうすけ ¥850/講談社

果物にかくれんぼしているのは、だーれ? さぁ、誰がかくれているのか、見つけられるかな? 海外でいち早く才能を見出され、次々と新鮮な作品を生み出している注目の絵本作家によるしかけ絵本。読み聞かせしながら、親子で一緒に “あてっこ遊び” が楽しめる。

「ページの右と左に同じ果物の絵が描かれていて、折りたたまれた右ページだけをパっとめくると、動物の絵に変わる。

妻が買ってきた絵本で、娘からの読み聞かせリクエストの頻度が高かった1冊です。仕掛け自体はシンプルなんですが、果物がいきなり思いもよらない動物の姿になる! という驚きが、何度見てもおもしろいんですよね」

 

Illustration:Yuka Hiiragi Text:Keiko Ishizuka Composition:Shiho Kodama

 

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