マンションリノベーションがシンプルになってきているという。これまでの、家自体が海外風に盛られた作りから、白壁×無垢材フローリングなどのシンプルなハコへと変わってきつつある。

超低金利で絶好の買い時だと言われる中、マンションの購入も以前よりぐっとカジュアルに。ベビモフ世代なら投資のための購入や、自分用に買って住まない時期に人に貸すといった選択肢もあり。シンプルなリノベーションのほうが借り手がつきやすく資産価値も高いと言えそうだが、理由はもちろんそれだけではなさそう。

「床」と「白壁」が人気の理由、そしてシンプルなほどそのセンスが問われるリノベのhow toを取材した。

お話を伺ったのは……
東京R不動産
吉里裕也さん
「東京R不動産」代表ディレクター。東京都立大学工学研究科建築学専攻修了。デベロッパーを経て、2004年にSPEAC,inc.を共同で設立。建築、デザイン、不動産、マーケティングなどの包括的な視点で建築のプロデュースを行う。
 
Butter inc. 代表取締役
田中一央さん
店舗・住宅の設計・施工

 

なぜ「床」と「白壁」の
シンプルリノベーションがいいのか

画像: なぜ「床」と「白壁」の シンプルリノベーションがいいのか

「北欧テイストに、インダストリアルに、モダンに……と、インテリアの方向性は様々。しかしそういったスタイルは、建具や家具、照明のチョイス次第でいかようにもアレンジが効きます。どんな内装にも馴染むように、まずは物件をルーズで自由な白いキャンバスと考えるといいのではないでしょうか。

そこで行きつくのが、シンプルな “白壁と床” なのです。白壁なら、飽きにくくいろいろなインテリアに合わせやすいし、質の良い天然素材の床は、長く付き合っていくことができます」と、R不動産ディレクターの吉里裕也さん。

 

シンプルなリノベーションをする際の
気をつけるポイントは?

「棚を加えたり壁を取り払ったりなど、後から簡単に変更できる部分もありますが、住み始めてからの床の張り替えはなかなか面倒。まずは最初のリノベーションの際に、床の下に配管が収まっていることが多い、水まわりや電気配線などの基本の設備を整えておきましょう。

そして床には、なるべく良い天然素材を選ぶ。木は生きモノですから、反りやねじれは生じますし、使っていればシミや傷もつきます。けれど、良い素材を使っていれば時間をかけてきちんと馴染んでいくものです。そういう傷やシミの経年変化を楽しみ、愛着を持って暮らしていくことが天然素材を使う魅力のひとつだと思うのです。

住宅は、住み始めが完成ではなく、ライフスタイルに応じてどんどん手を加えていく。そういう住まい方が、豊かな暮らしになるのではないでしょうか」(吉田さん)

 

もとの「枠」を生かせばドアで
コスパよく印象を変えられる

「住宅の印象を左右するのは一番は間取りですが、ほんの少しのことで部屋の印象を変えることができるのはドアだと思います。壁も間取りも変えなくても、ドアを替えるだけで部屋の印象はだいぶ違います。

Butterの場合、毎回オリジナルで制作していますが、ドアそのものは1枚10万円くらい。あとはもとのドアの処分費、交換の人件費などで12万~ 13万円くらいから可能です(施工会社により異なる)。予算がなければ枠とドアを塗るだけ、というのでも十分効果的です」(Butter inc. 代表取締役 田中一央さん)

 
2回目のリノベーションで
ドアと天井のトーンを揃えた

画像: Photo:Hisashi Ogawa

Photo:Hisashi Ogawa

床リノベの記事でご紹介した甲斐邸。2回目のリノベーションで天井をドアと同色に。もとの白い天井だった頃より一層モダンな空間になった。大きな「壁」であるドアを効果的に使った一つの例。

「天井は細い板が何枚も貼ってあるように見えますが、じつは大きなベニヤ板に等間隔で切り込みを入れたもの。天井に縦線が入ったことで空間に広がりが出ましたね」と施工した武生さん。ちなみにドアは、枠は残して中は武生さんがオリジナルで制作。


ドアが新しくなると
空間も新しくなる

画像1: 資料提供:Butter inc.

資料提供:Butter inc.

1. ドアのみ交換。枠は既存のものを塗装。
2. 枠・ドアともに交換。
3. いわゆる日本の標準的な住宅の雰囲気をがらっと変えるべく、初めてのリノベーションとしてドアを新規で制作。枠は既存のものを生かした。

画像2: 資料提供:Butter inc.

資料提供:Butter inc.

4. 和室を洋室に変えた際、押し入れのふすまをはずし、引き戸に交換。
5. ドア、枠ともに新たに塗装しただけ。
6. 古い戸建て住宅。ドアは交換、枠は塗装。

 
Interview&Text:Chisa Nishinoiri(東京R不動産 吉里裕也さんインタビュー部分)

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