エッセイシストのしまおまほさんが、今を生きるバラエティに富んだ子どもたちに出会い、話を聞き、限られた時間で彼らの本音を引っ張り出す新連載。第3回がはじまります!

第3回
ひなたくん(8歳)

画像1: 第3回 ひなたくん(8歳)

「男前パーマ」と書かれた大きな看板がひなたくんのおじいちゃんとおばあちゃんの家の目印です。お父さんが単身赴任中のひなたくん一家は毎日のようにお母さんの実家であるこの家で過ごします。

なぜ家に大きな看板がかかっているのか。それは、ひなたくんのおじいちゃんとおばあちゃんが自宅の1階で床屋さんを営んでいるから。「男前パーマ」というのがどういうパーマなのか、それはわかりませんが……。お宅へお邪魔するとお母さんが出迎えてくれました。

まほ:おじゃまします~。あれ、ひなたくんいませんね。

:すみません、人見知りをするので……。

ひなたくんは居間の襖を挟んだ隣にある子ども部屋で弟のこうきくん(5歳)と妹のひまりちゃん(1歳)と遊んでいました。テレビを観ながらフラフープをしたり、バランスボールでボンボン跳ねたり、こちらを意識しつつもなかなか居間に入ってこようとしません。襖は開いているのですが、部屋の境界線を越えようとはしません。

合唱してくれない、体育でペアになってもこちらを向いてくれない、机をくっつけてくれない、誘ってもすぐ返事しない……。

そうそう、小学生の時、男子ってこんな風だった。

一方、次男のこうきくんはお客さんが来てテンションが上がったのか、走ってお兄ちゃんにダイブ。肘を床で擦ってさっそく負傷。泣きながらお母さんに絆創膏を貼ってもらっています。ヨチヨチ歩きのひまりちゃんはお煎餅を手に持ってあっちをウロウロ、こっちをウロウロ。マイペースです。

:ひなた! そろそろこっちいらっしゃい! お姉さんたちはひなたの話を聞きに来てるんだよ!

ひなた:……。

画像2: 第3回 ひなたくん(8歳)

 

ある国民的番組に出演!?

なかなか話すタイミングを見つけられないひなたくん。わたしは、事前の連絡の中で強烈なエピソードがあったことを思い出し、ひなたくんに聞いてみることにしました。

まほ:ひなたくん、仮装大賞の写真見せて!

なんと、ひなたくんの家族は「欽ちゃんの仮装大賞」に2年連続出場を果たしているのです! ひなたくん、やはりその話題には答えずにはいられないようで、襖の境界線ギリギリに立って話し始めました。

まほ:ひなたくん、いつ仮装大賞に出たの?

ひなた:……年長の時。

まほ:ビデオ撮ってないの?

ひなた:あるよ。

後で気づいたのですが、もう「ビデオ」っていう言い方は古いですよね~。じゃあ今の子ってなんて言うんだろう? データ?

でも「ビデオ」でも通じている。子どもが大人の感覚にあわせてくれているんでしょうか。仮装大賞の「ビデオ」。ひなたくん、いつのまにか境界線を越えて居間のソファーに座っています。

まほ:どんなテーマの演し物(だしもの)だったんですか?

:3年前が「花火」、2年前が「続・浦島太郎」です。

まほ:「続・浦島太郎」……仮装大賞っぽい~! 去年は出なかったんですか?

:審査で通らなかったんです。

まほ:今年は応募するんですか?

:考えてます(笑)。

 

ご感想や応援メッセージ

掲載作品に対するご感想や応援メッセージが、こちらの送信フォームよりお送りいただけます。

なお感想以外のご質問、ご意見、ご要望、苦情などは、このフォームからお送りいただいても返信、対応ができかねますので、あらかじめご了承ください。

メッセージ送信にあたり、当社の個人情報保護方針をご確認ください。
講談社プライバシーポリシー

 

This article is a sponsored article by
''.