今月の人。

画像: 今月の人。

(作家)
辻村深月さん

1980 年山梨県出身。2004 年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
11年『ツナグ』で第32 回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞を受賞。近著に『東京會舘とわたし』、『クローバーナイト』、『かがみの孤城』、ミステリーアンソロジー『宮辻薬東宮』など。
 
『スロウハイツの神様』が2017年7月5日~7月16日に演劇集団キャラメルボックスにて初の舞台化を果たす。

 

『ぼく、仮面ライダーになる!オーズ編』

画像: 『ぼく、仮面ライダーになる!オーズ編』

作:のぶみ ¥1100/講談社 ©石森プロ・東映 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

仮面ライダーが大好きな男の子、かんたろうを主人公にしたシリーズ。宝物の仮面ライダーオーズのおもちゃを、いつも勝手に持ち出す妹のアンちゃんに怒ったかんたろう。
すると、何者かがアンちゃんを連れ去ってしまい……。

「妹ができたことでの兄の葛藤を描いたオーズ編はこのシリーズの中でも特にグッときます。のぶみさんの絵本は息子の友達の間でも大人気。寝る前の読み聞かせで、ヘビロテの一冊です」

 

親子で一緒に楽しむのが、
今らしい子育てスタイル

7月でちょうど6歳になる息子さん、1歳の娘さんとともに、いろいろな絵本を楽しんでいるという作家の辻村深月さん。
二児の母になった今、「読むたびに親も感情移入して、本当にグッとくる」のは、妹や弟ができた幼い主人公の心理的な葛藤をテーマにした絵本だ。

「たとえば『あかちゃんなんかすててきて』や『ちょっとだけ』など数々の名作があるこの絵本一大ジャンルの中で、親子で大好きなのが『ぼく、仮面ライダーになる! オーズ編』です」

この絵本を読み聞かせするときは、主人公を息子さんの名前に替えて読むことが多く、妹が生まれる前までは彼も素直に聞いていたのだが……。

画像: 親子で一緒に楽しむのが、 今らしい子育てスタイル

「今は、お兄ちゃんが妹にやきもちを焼くという話に身に覚えがあるせいか、この絵本を息子の名前で読むと『もうやめて! なんで僕じゃないのに、僕って言うの?』って、怒るようになってきて(笑)。

この恥ずかしいという感覚も成長なんだろうなぁと、一緒に読みながら分かってきたところです」

 

今の時代の絵本作家さんたち

出産してからは、子どもも大人も楽しめる “今の時代の絵本作家さんたち” の存在を一気に知り、「絵本って、こんなにおもしろいんだ!」と改めて気づかされることに。

「しかけ絵本にはドキッとさせられるものもたくさんあって。絵本の世界もどんどん進化しているので、新しい作家さんを知るのもおすすめです。

本屋さんの児童書の担当の方に聞いてみるのもいいと思います」

 

読書は義務じゃない。

辻村さんは、講演会やトークショーなどで「子どもが本を読まない」という悩みを相談されることもある。

「『本を読ませなきゃ』と、どこかで義務のようになってしまっていると思うんです。でも私自身がどうしてこんなに本好きなのかというと、純粋に読書が楽しみのひとつだったからなんですよね。

母親にはむしろ『目が悪くなる』とか『もう読むのをやめなさい』と言われていて。禁止されたからこそ、ムキになって読んだという覚えがあります(笑)」

家では、あえて楽しみを小出しにするべく、子どもが好きな絵本をタンスの中にこっそり隠しておくことも。

「ある日、息子がその絵本の存在に気づいたらしく、『僕、今日いい子にしていたら、新しい絵本くれる?』と聞いてきたと思ったら、夜、いつの間にか自分で絵本を取ってきて、勝手に読んでいたんです(笑)。

画像: 読書は義務じゃない。

だからもしかすると、子どもを本好きに育てたいなら、ある程度の制限やルールみたいなものが必要なのかもしれませんね(笑)。

そしてそんなお母さんたちに、私が声を大にして言いたいのは『子どもが読むものを、いい本、悪い本と決めつけないでほしい!』ということ。

それがたとえマンガであっても。どんなジャンルも読んだら楽しくて、おもしろい――私が無条件にそう思える土壌を作ってくれた存在が、たぶん就学前に触れた絵本だったのだと思います。

絵本って、やっぱり “読書の入り口” ですよね」

 

辻村さん、これもオススメ。

子どもの今の興味が分かる
バロメーターに

『しごとば』

画像: 『しごとば』

作:鈴木のりたけ ¥1700 /ブロンズ新社

緻密な取材に基づき、子どもたちに人気の職業の仕事現場を再現した大人気シリーズ。
“新幹線運転士” が “すし職人” の店でおすしを食べているなど、さまざまな職業の人が、それぞれの仕事を通じてつながっていることが分かる “しかけ” も楽しい。


「ひらがなを覚え始めたこともあり、息子は仕事の内容より仕事場にある道具の名前に興味津々。同作者さんの『ぼくのおふろ』をはじめとする “ぼくのシリーズ” も好きです」

 

今でも曜日のイメージは
この絵本のウサギたち

『おひるねじかんにまたどうぞ』

画像: 『おひるねじかんにまたどうぞ』

作:武鹿悦子 絵:西巻茅子 ¥1000 /小峰書店

保育園のおひるねの時間。なかなか眠れないとこちゃんの前にウサギが現れて、「いいところへ行こうよ」と声をかける。

「私が小さい頃に読んでいて、一番好きだった思い出の絵本です。司書をしていた大叔母さんが母の出産祝いに贈ってくれたもので、よく見たら、第1版はちょうど私が生まれたときと同じ1980 年2月だったんです。

絵本通だったに違いない彼女が、当時の最新刊を選んでくれたと思うと、すごく嬉しかったですね」

 

本格ミステリーのような
おもしろさ

『まくらのせんにんそこのあなたの巻』

画像: 本格ミステリーのような おもしろさ

作:かがくいひろし ¥1300/佼成出版社

謎の穴に次々とはまっていく動物たち。穴にはまった枕の仙人様が助けを求めた相手とは……!?

「絵本の中の主人公に『そこのあなた!』って、いきなり呼ばれたときの驚き(笑)。現実と絵本の世界がつながるというしかけは、子どもが喜ぶツボが分かっているなぁと思います。

息子も『あ、大変だ!』って言いながら、楽しそうに絵本をたたいたりして。1歳の娘も、かがくいさんの絵本が大好きで、ゲラゲラ笑って真似しています」

 

Design:Asami Sato(SATOSANKAI) Illustration:Yuka Hiiragi Interview&Text:Keiko Ishizuka Composition:Yuko Tsutsui

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